Summary of Final Oral Presentations (Class of 2003-04 and Before)

   
Class of 2003-04 Class of 2000-01
Class of 2002-03 Class of 1999-00 (Title only)
Class of 2001-02 Class of 1998-99 (Title only)
  Latest Summaries

2003-2004年度

日本のベストセラー小説

Benjamin Tobacman (Harvard U)

誰も移り行く年月を止めることは出来ない。しかし、その流れを存続する形として止め、去り行く年月に最期の別れを許容するものがある。それは文学である。そしてその中でも、ある時代を生きていた人々を最も正確に反映するものの一つはその時、その時のベストセラー小説だと思われる。十冊のこの選り抜きの本を踏まえて、日本及び日本人がどのように変化してきたか、また、日本人がどのように戦後の社会をそのまま保ち続けてきたかという問題にスポットを当てていく。

グローバル化時代の企業の危機管理―見えざる危機を予防できるか

Jamie Ravetz (Gettysburg College)

「9月11日以降世界は永遠に変わってしまった。」というのは、今や使い古された表現になった。一方で、その日から企業の危機管理方法が変わって行ったのである。この混沌とした世界で生き残るために、企業は今まで経験したことのない、また想像を超えた危機に備えなければならなくなった。しかしながら、日本企業が十分な危機管理戦略を立てているとは言えない。本発表では、リスクと危機管理について簡単に説明した後、最近のアメリカ大企業の危機管理戦略を考察し、日本企業にとって何が必要なのかを明らかにしたいと思う。

臥虎藏龍−眠れる龍

Xuan Hui Ng (MIT)

中国では、1992年以降爆発的な経済成長が見られる。ある外国の企業は、中国における低い生産費や人件費、巨大な消費規模の魅力に引き付けられ、中国への輸出や進出を図っている。一方、ある企業は、そのメリットを疑い、中国におけるリスクや、自国の経済に対する脅威を気遣い、輸出や進出を躊躇する。中国に対する熱狂、あるいは懸念には根拠があるのだろうか。そのメリットとリスクとは、具体的に一体何だろうか。また、企業はどうやってそのリスクを回避し、中国をうまく取り込んでいくべきであろうか。本日の発表で、上述した疑問について検討してみたいと思う。

満州へ渡った日本の「大陸の花嫁」

Kerry Lowell (U of Michigan)

満州事変により、関東軍が中国侵略に成功し、翌1932年に大日本帝国は「新天地」、実は傀儡国家、満州国を成立させた。日本政府は欧米諸国に負けないように、国際的な舞台で政治・経済・軍事力などを誇示したかったのだ。そして、様々な北方防衛方針を作り上げた。例えば、満州開拓民政策はそれにあたる。ある歴史学者に「生きたる防壁」と呼ばれた農業移民たちは、関東軍の食料補給をしたり、現地で軍隊に召集されたり、皇国の「聖地」や「赤子」を増やす等、多くの役割を果たした。昭和10年代の満州開拓政策に従った青年たちの妻(大陸花嫁)の体験と歴史的な重要性を明らかにしたいと思う。

『阿呆(アボ)物語』より「或阿呆(アボ)の半生」

David Abbott (Emory U)

あらゆる作品にはそれぞれの時代を生きた世代が表現されています。作家、歌手、俳優等が様々な媒体を用いて表現者としての責任を果たそうとしています。源氏物語や平家物語にまで遡るそうした伝統を受け継ぎ、弐千四年、阿呆物語が生まれました。老若男女全てが個人的な物語を持っているに違いありません。これは私の物語からの一節です。

日本の銀行の特異性

Adam Gerber (Cornell U)

外国人からよく独特であると指摘される日本の金融制度、特に銀行について検討してみたい。まず、日本経済専門の外国人ジャーナリストの文献から外国人側の見方を紹介し、その後、日本人側の意見として、30年間のキャリアを持つ日本人銀行家にさせて頂いたインタビューの内容を紹介したい。最後に、両者の意見を比較して、私なりの印象を述べたい。

紛争解決と武士の自制−中近世移行期における「アンガーマネージメント」について

David Eason (UCLA)

日本史の中では、有名な武士、合戦についての歴史小説やテレビ番組の影響によって、十六世紀が最も暴力的な時代だったというイメージが広められてきた。現在の人々の目から見ると、十六世紀における戦いが残酷で、激しかったのは確かである。しかし、恒常的戦争状態であった十六世紀においても、必ずしも喧嘩と暴力行為が承認されていたというわけではない。権力を握っていた武士は次第に暴力を禁止し、遺恨や憤慨を表す言葉に対して懸念も示すに至った。そして治安秩序を維持するため、恨みに基づいた私的な喧嘩を抑制した。それゆえ、十六世紀の乱世から十七世紀の「太平」への変遷を理解するには、当時の暴力に対する対処の思想と具体的な仕組みについて考察しなければならない。武士の自制と紛争解決との関連を中心に、十六・十七世紀に発布された法律をひもときながら、近世国家の形成と関わっているこの特色を明らかにしていく。

日本手話と音声日本語の相違

Sara Hung (U of Wisconsin)

聾者を主人公としたテレビドラマや手話ニュースなどをきっかけに、手話に対する認識が高まってきた。しかし、あまり知られていないのは、手話には3つの種類があるということである。テレビで見られる手話はほとんどが、いわゆる日本語対応手話である。これは音声日本語の語順にしたがい口話と併用する手話である。いっぽう伝統的手話は、音声言語の文法と違うだけではなく音声日本語と併用することはできない。その二つの間に中間型があり、これはほぼ日本語の語順に従う。書いた文章は両者とも同じ文法を使うにもかかわらず、伝統的手話は音声日本語とは異なる個性的な構造があると考えられる。この発表では伝統的手話と音声日本語の相違について紹介する。

体育教育と日本の近代化−体操と運動会の思想を中心に

Rebecca Nickerson (U of Illinois)

明治維新後、近代的な軍隊を形成するため国民の身体・精神・規律を養成することが必要だと考えられた。明治19(1886)年、森有礼文部大臣の下で小学校令が発布され、「体操」が義務教育の一環として採用された。この「体操」は、欧米の軍隊で行われていた運動を、「兵式体操」として日本の軍隊が取り入れたものに基づいている。明治20年代に入ると、「体操」と共に学校の運動会も全国的な広がりをみせていく。この発表では、体育教育・スポーツはどのように日本の近代化と結びついているのかということを考察する。

相撲協会、もっと四股を踏め!

Wallace DeWitt (Yale U)

近年、「大相撲の人気低迷」が頻繁に論じられるようになりました。財団法人である相撲協会は数多くの問題に直面していますが、その中で最も深刻なのは八百長―相撲協会がいう「無気力相撲」―であると言えるでしょう。我々が大好きな国技の取り組みは馴れ合いの対戦なのでしょうか。部屋制度は諸悪の根源となっているのでしょうか。MLBの歴史を参考に八百長問題を解決するため相撲協会がどのような政策を取るべきか考えたいと思います。

財政投融資

(本人の希望により、このページへの掲載は控えさせていただきます)

小説「野蠻人」

(本人の希望により、このページへの掲載は控えさせていただきます)

大麻は地球を救う−日本の文化と深い関わりのある大麻の有用性

Adam Lobel (UC Berkeley)

大麻とは、社会を脅かし、麻薬中毒者をもたらす物だと戦後の日本社会は信じてきた。実は、学名をカンナビス・サティバ・リンネというこの植物は縄文時代以前より、繊維、食物、建材、薬、更に神社の鈴縄など神事に関わる様々な物として利用されてきた。

大麻のイメージが悪化したきっかけは1948年に制定された「大麻取締法」や占領米軍のプロパガンダだと考えられる。この発表では、大麻が天然資源の枯渇・エネルギー危機などに対する一つの解決策として提案されていることを紹介する。日本人は自国の埋もれた知識と新しい研究の成果を駆使して、持続可能な社会を実現する為に重要な役割を果たせるのではないだろうか。

その英語はおかしい!−日本のポップ音楽における英語の役割は何か?

Marit Hardej (U of Massachusetts)

日本のポップ音楽界で英語の使用が流行している。曲のタイトルや歌詞の一部に英語が使われ,CDジャケットの説明さえ英語で書いてあるものも珍しくない。また、しばしば、アーティストは歌詞の中に英語を使うことを期待されている。そこで、なぜ英語はこんなに力を持っているのか、また、英語の役割は何なのかを研究した。いろいろな作詞家にアンケート調査をた結果、いくつかのパターンが見つかった。本発表では、このパターンについて話したいと思う。

漢脱外入−日本語表記のかわり目

Brian Brookshire (Stanford U)

日本語表記はどういうものだろうか。そして、今後どうなるだろうか。日本語表記は漢字、ひらがな、カタカナといった3つの表記法を用い、世界一難しいと言ってもよい。漢字が初めて日本語に導入されたとき、漢語の言葉も大量に日本語に入ってきた。また、漢字は当て字として日本語の固有語(つまり和語)に適応していった。このため、日本語表記は最初は漢字ばかり用いられていたが、その後、ひらがなとカタカナの開発によって、現代人が馴染んだ「漢字・かなちゃんぽん」へと変化した。今日では常用漢字という活字数制限や外来語の大量摂取によって、日本語の語彙と表記法は全体的に変わりつつある。

現在も「ロンリーウーマン」がいる

Christine Cowgill (UC Irvine)

高橋たか子の「ロンリー・ウーマン」と大庭みな子の「むかし女がいた」は女性の基本的な役割、いわゆる「母」と「妻」に疑義をさしはさんでいます。その伝統的な役割は現代の生活と衝突しており、この作家達はそれをとりあげて批判しています。どうやって女性は幸福を得るのか、という問題意識は、両者の大きい共通点だと思います。今回は、この問題意識についてお話ししたいと思います。

移民受け入れの実状−日本とヨーロッパを待ち受ける課題

Matthias Nyitrai (U of Hawaii)

先進国にとって20世紀から引き継がれた大きな課題の一つは、移民受け入れである。世界における貧富の格差、地域紛争などを契機に、自国を去り、海外でより安定した生活を求める移民の波が次々と先進国に向かっている。

この発表の中心となる日本とヨーロッパは、少子化・高齢化および大幅な人口減少という問題に直面し、その結果、経済の成長率、年金制度などが脅かされている。

長く移民問題に取り組んできたヨーロッパ諸国と異なり、日本では、移民受け入れに対する取り組みや意識がまだ不足している。この発表では、ヨーロッパにおける移民受け入れの歴史を振り返りながら、その問題点を指摘し、今後日本が進むべき道を探る。

現代を聴く−音響と雑音の意味を再考する

Lorraine Plourde (Columbia U)

「現代」という問題を考える時、日常性の変容という特徴がよく学者たちによって唱えられる。特に近代化によって発明されたもの、例えば写真、映画、鉄道などを受け入れたショックや、それらの受容による心的外傷(トラウマ)から、人々の感覚が大幅に変わってきたという指摘もよく聞かれる。しかし人々は、都市空間の音や雑音、即ち工場の機械と大都市生活のリズムを通して出された音にも衝撃を受けたのではないだろうか。本発表では、これらの音響や雑音から与えられた衝撃について、未来派や前衛運動との関係から考察したいと思う。さらに現代日本の雑音に関する実験やサウンド・アートについても言及したい。

会話における相互助詞の機能―「ね」と「さ」の分析を中心にして

Bryce Berger (U of Washington)

先行研究では「ね」と「さ」といった日本語の助詞がモダリティー、情報の縄張りなどの概念に関連づけられ、機能的に分析されている。しかし、こうした研究は会話の相互性を見落としているので「ね」と「さ」が会話でどのような役割を果たしているのかについて、十分に説明できない。本研究では森田(2003)の理論を用い、日本人の実際の会話を分析した。その結果「ね」と「さ」の基本的な役割には様々な機能があり、特に「さ」の場合には会話における不連続的な行動、つまり聞き手が次におこすであろう行動を妨げるマーカーとして使われる場合があることが分かった。これにより「ね」と「さ」の包括的な枠組みを構築することが出来た。

みなとみらい線の発展

Peter Favia (Yale U)

2004年2月1日、「みなとみらい21」プロジェクトは新たな段階に入りました。横浜市民の久しく待ち望んだみなとみらい線が、ようやく開通したのです。このわずか4.1キロメートルの地下鉄は、東京首都圏交通網と比べると大海の一滴のように見えますが、さすが地下鉄だけあって、地下に隠れた事実がたくさんあります。輝きを放つ新たな鉄道駅の後ろには、地元の反対や複雑な決定が隠れているのです。みなとみらい線と名づけられた時点から工事の竣工までを見ると、「みなとみらい21」プロジェクトの一環としての都市計画立案の一部が詳細に見てとれると思います。

荀子の思想

Kurtis Hagen (U of Hawaii)

紀元前250年頃に生きていた有名な儒教の学者である荀子の思想、特に荀子の倫理論に関して、「道」、「理」、「正名」、「禮」や美徳という概念を簡単に説明し、それらの概念の間にどのような関係があるかを検討する。要約すると、「正名」とは道徳に有効なカテゴリー(「類」)を言語へと凝固させることであり、「禮」とは社会の調和へと導く社会的なパターン(「理」)のことである。これらは絶えず模範的な行動によって導かれ、「道」を具体化すると同時に、「道」の方向に関する建設的な議論の基礎を形成する。つまり、「正名」と「禮」は美徳を発達させる手段であり、これらによって育まれた人々の成果である。

横浜の鉄腕アトムからワンピースまで−1950年代から現在にいたるマンガとアニメの変遷への支援

Kukhee Choo (秋菊姫)(U of Texas)

日本において21世紀を導いて行く次期産業だと言われるのはやはりマンガとアニメ、いわゆるコンテンツ産業である。これは日本の大衆文化に対する国際的な認識の向上と、市場における需給の増加の結果である。文部科学省も2000年度の白書において初めて文化としてのマンガとアニメに言及した。つまり、子供の文化だと見られていた以前とは異なり、この産業は新しい段階に入ったとも言えるだろう。このような傾向を考慮すれば、この二つの媒体は日本文化を理解するために非常に重要、かつ有効だと言えるだろう。

マンガとアニメに内在する変化は日本の社会状況を色濃く反映していると思われるため、この発表ではこれまでの日本のマンガとアニメの歴史を1950年代からバブル崩壊後の現在まで概観し、その中に見られる主人公の設定と物語構造の変遷を分析するつもりである。

トヨタ自動車のグローバル経営戦略

Eric Dere (UC Berkeley)

長引く平成不況に日本経済全体が苦しむなか、トヨタ自動車は経営業績を年々伸ばしている。「フォーチュン・グローバル500」によれば、多国籍企業としてトヨタは世界8位であり、日本では第1位を占めているという。品質が高いことでも表彰され、また世界の自動車メーカーの中でトヨタの純利益は一番高く、2010年までにゼネラルモーターズを追い越し、販売台数で世界第1位になると予想される。このような業績が達成できた理由として、トヨタの経営は能率的生産方式の採用をはじめ、積極的労使関係の育成や、海外投資などの面で優れていることを指摘する。

情報化社会の設計−付加価値を付けた生活を

Christopher Kajiwara (U of Hawaii)

デザインと経済の関係は無視しにくいものである。しかし、デザインの目的というのはこれだけなのであろうか。その目的は、重要なことであるにもかかわらず、資本主義を奨励してきたその背景から、デザインは一見軽率で人々の感情を害するものとして見なされてきた。そのため、デザインはさらに深い意味を追求することになった。本発表では、黒川紀章と原研哉という二人のデザイナーの発想を考えることにより、その意味を追求する。具体的には、黒川の「共生」という思想と、原の「EMPTINESS」や「情報の美」という発想の分析により、デザインが付加価値のある生活を生成する可能性を考えたい。

「太陽の季節」

(本人の希望により、このページへの掲載は控えさせていただきます)

日本人の自然観を探る

Avery Fischer (Nanzan U)

「西洋人にも俳句が作れるか?」「日本人にも科学ができるか?」近代になってこのような自然と科学の見方についての質問がされるようになり、西洋と日本とでは自然観の相違が存在することが明らかになった。この相違はまた、様々な分野における交流に影響を及ぼしてきたが、その具体性は捉えにくい。日本人の自然観は西洋人の自然観と比べ、どういう特徴を持つか。これらはどんな形で現れてきたのか。果たして「自然」という言葉は、「nature」と同じものを表しているのだろうか。また、21世紀の優先課題となっている環境破壊に対する関心の高まりに日本人の自然観が寄与すると期待できるであろうか。日本人による文化論と時事的問題に触れながら、分析したい。

IT時代のカラオケ

Deborah Rowland (Stanford U)

8トラックテープとマイクの単純な形で始まったカラオケは現在の込み入った形態へと進歩した。その高度な成長の一因はIT革命である。カラオケの普及のピークは過ぎたが、飽和市場での新しい技術や楽しみ方の導入がカラオケ産業の有望な将来を創造している。

この発表ではカラオケの歴史、技術、そして将来の可能性について述べたい。

「奇想的な絵画」の再考−岸田劉生と神仙思想

Stephen Salel (U of Washington)

三十年前、美術史学者である辻惟雄は、江戸時代の画壇を研究し、六人の画家を「奇人」と判断したうえで、「奇想」というものを日本人の特徴であると宣言した。辻は主観的な解釈により、奇想に愛国主義的で少し病的な意味を付け加えた。しかしこれを再考してみると、奇想は中国から伝わってきた道教の最も重要な「神仙思想」との関係が、非常に強いということが明白になる。本発表では、仙人と神仙思想を簡単に説明してから、寒山と拾得という代表的な仙人を紹介し、江戸の奇人たちが描いた「寒山拾得図」と、大正時代の画家岸田劉生による「寒山拾得図」を比較する。

切手が伝えている物語

Tze May Loo (Cornell U)

切手は我々の日常生活において、欠かせないものである。しかしながら、我々は、切手の存在にあまり気づかずに利用しており、「切手」について深く考えることはない。切手は、ただ郵便で通信するために採用された小さな紙片にしか思われない。それは日常生活の1つの平凡な要素にすぎないと言える。しかし、切手は単なる実用的なものではなく、実に面白いものである。もし切手の存在に注意を払うなら、切手が伝えている物語がみてとれる。これらのいくつかの物語について発表する。

会計ビックバン

Timothy Barry (U of Warwick)

日本の会計制度は高度経済成長の始まりから1997年に行われた金融ビッグバンまでの間あまり変わらなかったと言われる。1997年以降、様々な新しい会計基準が相次いで導入された。一体どのような改革が行われたのだろうか。そしてその改革だけで十分だったのだろうか。2005年、欧州が国際会計基準の採用で会計制度を統一させ、米国と会計調和を目標としていることを背景に、日本の会計ビッグバンについて検討したいと思う。

冷戦下の日比戦後賠償−本当の和解は有り得たのか?

Brian Cathcart (Tufts U)

1940年代後半から米ソの対立が激しくなった。アメリカは共産主義を封じ込めるための砦を日本に作ろうとした。また、元植民地としてフィリピンもアメリカの反共政策の傘下にあった。1951年のサンフランシスコ講和条約によって日本は国際社会に復帰したが、同条約第14条aに日本は占領した国々に対し賠償を行う義務を負うことが記されていた。これをもとに、日比戦後賠償交渉が始まる。この発表では1956年までの交渉を考察し、日、比、米はそれぞれどのような目的を持って交渉をしたのか、日本とフィリピンは本当に和解したのか、冷戦がどのような影響を与えたのか、これらの疑問に答えるつもりである。

日本の新裁判員制度

Samuel Porter (U of Utah)

司法制度改革の一環として、裁判員制度の導入についての検討が進みつつあり、5年以内に実行される見通しである。一般市民が政府に負わされる時間的、金銭的、及び精神的な重い負担は頻繁に話題となっている。しかし裁判員制度がどのように裁判の公平性と正義に影響を与えるかという重要な事柄はそれほど注目を集めていない。そこでアンケートを行い、裁判員制度の必要性、裁判員制度と民主主義との関係、そして裁判員制度によって行う裁判の公平性と正義といった主題について質問した。この発表では、裁判員制度の導入の背景を簡潔に紹介してから、アンケートの結果を報告する。

憲法改正論の流れ−第九条を中心にして

David Wolitz (Yale U)

日本では最近までタブーとも言える状況にあった憲法改正運動が今日盛んになりつつある。現行憲法はこれまで一切、改正されなかったが、今や包括的な改正案が相次いで提案されるに至っている。改憲運動は何を目指し、どのような具体的な改正案を提出しているのか、特に現行憲法の特徴である第九条、戦争の放棄はどのように改正されていくのだろうか。現在の改憲案をいくつか取り上げ、改憲論の現状を検討したいと思う。

桜の春?読書の秋?−日本人の季節観

Sheng Fen Huang(黄聖芬) (Yale U)

四月、着慣れないスーツを着て飲み会に集まっている新入社員、七月、カキ氷を食べながら風鈴が鳴っている海の家でバイトする大学生、11月、枯れ葉がカサカサ舞い落ちてくる神社で手をつなぐ恋人…日本の豊かな季節の変化と、それに合わせた農作業、年中行事、祭りの存在から日本人独特の季節観が生まれると考えられます。また、「季語」を使って俳句を詠むことによって、自然に対する敏感さが養われ、日本人は季節の小さな変化にも美を感じるようになったのではないでしょうか。更に、季節ごとに植物が変わることによって、様々な表現や匂いに対する意識が生まれてきたのではないかと思い、アンケート調査を実施しました。皆さん、私と一緒に、桜の春、読書の秋を味わってみませんか?

↑ページ先頭

2002-2003年度

回転寿司のイメージ

Margaret Su (U of Michigan)

第二次世界大戦後、日本における食文化は著しい変化を遂げてきたと言われている。特に海外からの影響を受けると同時に海外の食習慣にも影響を与えたと考えられている。しかも、日本の経済成長及び技術発展と共に、日本における外食生活は一般化し、最近の社会傾向、つまり働く女性の増加、又単身世帯や高齢者世帯の増加等という理由でさらに浸透していったと思われる。そこで、外食産業の一つである寿司産業、特に回転寿司を取り上げ、その顧客側と業者側の回転寿司のイメージについて述べたいと思う。

日本外交の役割:米国、国連との関係

Carlton Vann (Columbia U)

イラク戦争後米国と国連の関係がさらに悪化し、日本の外交にも影響を与えている。日本政府はあくまで米国の軍事指針を優先的に支持するべきだろうか。あるいは、日米同盟を維持しつつ、国連で重要な役割を演じられる可能性はあるだろうか。二十一世紀における日本外交は岐路に立っている。本発表では、まず、日米関係を簡単に概観し、日本と国連の関係を考察する。そして、これからの日本外交について意見を述べていきたい。

「花に水を与える仕事」:学習における教師の立場から見た教師の役割

Philip MacLellan (U of Illinois)

「教師とは何か」‥‥グローバル化のなか世界中どこでも教育上の議論は非常に重視されている。特に、教育熱心な国、日本では21世紀に向かって義務教育課程の改革及び高等教育の新たな方向の中で教えるという行為について注意深く検討している。カナダ、アメリカ、及び日本で教え、教師と学習者の関係に大変興味を持っている私は、どのように学習者の上達を促進させるのかについて教育心理学の視点から研究している。このプロジェクトでは教師の役割に関するアンケート、及びインタビューを通して教師の生の声を明らかにしたい。

摂食障害:治癒への道

Lauren Shaman (Tufts U)

摂食障害の患者に対しては、「変わった人」とか「心が弱い人」等様々なステレオタイプが存在する。その上、自分自身や周囲にいる人とは無関係だと信じ込む人が多い。しかし、摂食障害は一般に考えられているほど珍しくはない。この発表ではどのように摂食障害を乗り越え、どのような治療で回復するかについてお話する。初めに背景知識として摂食障害の症状について簡単に説明する。次に治療に関して患者自身がどうすべきか、そして周囲にいる家族や友人が患者のためにどんな事ができるか、しなければならないかについて述べたい。

コンビニの市場開拓

Landon Thorpe (Stanford U)

コンビニ業界における競争は大変激しく、各コンビニは絶えず新しいサービスを追求してきた。そのおかげで市場は拡大し、コンビニは日本人の生活の中で、なくてはならないものとなっている。

最近コンビニは銀行と郵便局の役割も果たすようになった。例えば、セブン-イレブンはアイワイバンクをつくり、客はコンビニから小包を宅急便で送る。このようにコンビニは銀行、郵政公社と競争しているが、一方それらと提携の形で協力するようにもなっている。こうした結果、消費者には、さらに便利なサービスが受けられる可能性が出てきたのである。

外来語について

(本人の希望により、このページへの転載は控えさせていただきます)

三宅島被災者帰島への道

(本人の希望により、このページへの転載は控えさせていただきます)

日本アニメのグローバル化:アニメは日本文化を代表するか?

Annie Manion (U of Chicago)

現在世界中でグローバル化が進んでいます。最近、海外で日本のグローバル化に貢献するのはアニメだと少しずつ認められるようになってきました。アニメの影響はフランス映画からアメリカの音楽にいたるまで見られるので、アニメは日本文化を代表するという意見は当然だと思います。しかし、日本文化を海外に紹介するために、アニメを使うのは効果的なのでしょうか。日本文化を誤解する危険性があるのではないかという疑問が起こります。この発表では,日本文化の代表としてアニメを扱う場合のプラス面とマイナス面についてお話ししたいと思います。

堂々たる日本のゲーム産業

Shawn Bonham (U of Washington)

夢かうつつか区別のつかない、テレビ画面上のパラレルワールドの実現につとめる堂々たるゲーム業界。総合売上高やソフト品質の面では世界に冠たる地位を確立してきた日本だが、これは果たして長続きするのだろうか。ゲーム産業の移り変わりをめぐる歴史から出発して、ソニー、マイクロソフト社、そして任天堂という大手メーカー別の戦略や特徴を解明する。次に技術者の育成問題、シリーズ化による独創性の欠如など、日本のゲーム産業の直面する問題点を取り上げ、最後に東洋と西洋を結ぶ、架け橋としてのゲーム像を窺う。

鬼か人間か:江戸時代の「キリシタン」像

Jan Leuchtenberger (U of Michigan)

江戸時代の色々な物語には、外国人が鬼や動物のような悪役を演じている部分がある。描写そのものも面白いが、江戸時代においてこのような描写がどのような役割を果たしていたのかという疑問も興味深い。この発表では二つの物語の描写を取り上げ、どうしてこのような描写がなされたのか、そして、読者は外国人に対して一体どのようなイメージを持っていたのかという点を考察したい。

日米野球:文化の違いから生まれる誤解

Devin Elliott (U of Arizona)

日本の球団と契約したアメリカ人プロ野球選手は、実力があるにもかかわらず、日本の球界では活躍できない場合が多いです。それには色々な理由があるのですが、この発表では、特にピッチャーのケースを取り上げ、1.アメリカと日本のトレーニングの仕方の違い、2.試合における戦略の違い、3.外国人選手に対するイメージが生む誤解、の三点に触れ、具体的な例を挙げながら説明したいと思います。

戦争の記憶:戦前マリアナ諸島に居住していた日本人の場合

Jessica Jordan (Arizona State U)

戦前、つまり1920年代から40年代の前半まで日本人は「南洋」のマリアナ諸島に居住し名実ともに日本の社会を造っていた。その半世紀後、私は「南洋」で生まれ育った。サトウキビの代わりにこの時代の遺跡に囲まれて育ったため、以前存在した社会を理解するために、日本人の当時の記憶が集められた本を読み、繰り返し表れたキーワードや表現を集めて分析した。この発表では当時沖縄からマリアナ諸島に移り住んだ労働者やその家族などの記憶を紹介する。

悪の典型:井原西鶴の「本朝二十不孝」

David Gundry (Stanford U)

親孝行の典型を挙げる「二十四孝」という中国の儒教的な説話とは逆に、井原西鶴の「本朝二十不孝」(1686年刊)には甚だしい不孝の例が描写されている。端書きではこの二十話は世人を孝の道へ導く訓戒であるというように説明されている。確かに、厳しい道徳的な教訓のような側面もあるが、滑稽なところも少なからずあり、パロディーに近い部分もある。「本朝二十不孝」の多くの悪玉の行動は信じ難い程極端であり、それに西鶴の「好色一代男」などの浮世草子と同じく、筆者がまるで遊んでいるように、様々な古典文学作品が真似されたり引喩されたりしている。こうした理由で、「本朝二十不孝」は部分的には儒教的な説話というより、一種のアイロニーを込めたブラックコメディになると思える。

認可後4年のピルの現状:日本女性のピル意識と利用方法(アクセス)

Malaya Ileto (Columbia U)

日本ではアメリカに40年も遅れて、世界各国で避妊法の主流をなすピルが1999年に認可された。これによって、日本女性の避妊法の選択肢が増えたはずであった。しかし、認可からすでに4年も経っているのに、日本女性はピルについてまだ基本的なことさえ分かっていないのが現状である。そこで、ピルについての情報はどのように提供されているのか、女性の選択肢が増えたことは事実なか、それともむしろピルの認可は象徴的なものにすぎないのか、ということを調べてみることにした。本発表ではピルの歴史を背景にして、現代日本女性のピルに対する意識やピルの利用方法(アクセス)について述べたいと思う。

ジェンダーは何によって表されるか?:男性性や女性性を表す行動や言語

(本人の希望により、このページへの転載は控えさせていただきます)

横浜のホームレスへの支援

Katherine Teela (Carlton C)

日本のバブル崩壊後、日本でのホームレス問題はますます深刻になってきている。厚生労働省の調査によると、横浜は全国でホームレスの多い8つの市区の一つである。本発表では横浜、とくに寿町という寄せ場にいるホームレスに焦点を当て、その実態を明らかにして行きたいと思う。去年の8月に、ホームレスに関する法律が制定された。横浜市中区はその法律をもとに、どのような支援を行っているのか、その支援策について述べ、問題点を指摘していく。また、中区役所の支援の欠点を補う活動をしているNPOの「さなぎ達」という民間支援団体についても紹介したいと思う。

視覚障害のある外国人をも対象とする日本語教育

Wai Yee Reiko Chan (Ohio State U)

現代社会においては国際化により、自分の母語だけではなく、外国語を第二言語や第三言語として勉強する必要が生じてきた。

しかし、今までの外国語教育課程は健常者を対象としたものがほとんどである。例えばアメリカの大学では、障害者が健常者と一緒に学習することは稀ではないが、外国語学習の課程においては、視覚障害者、聴覚障害者、言語障害者などはほとんど見られない。それは、健常者とそれら障害のある人たちが一緒に学ぶことを想定して作った課程がないからにほかならない。

本発表では、アメリカの大学において視覚障害者と健常者が教室内で一緒に日本語を学ぶ上での問題点、そしてその対策を考え、従来の日本語教育課程の改善を目標とする。

川端康成の文体の特徴

Arthur Mitchell (Yale U)

新しい文学をもたらすには新しい知覚と新しい表現が必要だと唱え、川端康成は作家として独創的な文体を作ることに工夫をこらしました。名作の『雪国』から文体の典型的な例を取り上げ、分析を行いたいと思います。特に情景描写に焦点を置くつもりです。直喩と隠喩の遣い方、イメージの成り立ちと展開、川端康成の文体を代表する二、三の特質を定義していきたいと思います。

日本における児童ポルノ:どこまで許されるのか

(本人の希望により、このページへの転載は控えさせていただきます)

金融ビックバン以降の外資系金融企業の日本への進出

Pei Ling Pauline Yang (U of Chicago)

1998年日本で「金融ビッグバン」という金融自由化政策が実施された際、人々は外資系企業が国内市場を席巻してしまうのではないかと恐れた。しかし、過去5年間の結果はそれほど単純ではない。非常に成功した会社もあるし、すぐに多額の損失が生じ、日本から撤退した会社もある。多くの外資系企業が日本で失敗するにつれ、東京は外国からの投資の対象として、もはや魅力がないという声も強まった。

本研究は、この「金融ビッグバン」が、外資系金融企業を日本の市場に導入するという当初の目的を達成したかどうかを検証するものである。日本の金融市場は今後どうなるのか、そして海外からの投資を引きつけるためにどのようなことができるのか、これらの問題も考えていきたい。

自衛隊に対する日本の大学生の意見

Grace Cho (Yale U)

日本の大学生の自衛隊に対する意見についてアンケートとインタビューを実施した。本発表ではその結果報告をし、考察をしたい。アンケートでは自衛隊がどのぐらい大切だと思われているか、日本は軍隊を保持できるように憲法を改正するべきか、などについて尋ねた。インタビューは横浜国立大学の学生三人に自衛隊は国家防衛のために十分だろうか、これからどのように進むべきだろうかというテーマで行った。

バーから見た横浜のこの30年

Ben Wiley (U of Illinois)

今回の研究は、安くはないバーをいろいろ回った調査の結果です。精神的苦痛を感じた時もありましたし、身の縮む思いでおこなったインタビューもありました。これらのインタビューを通して得た情報をもとに、横浜のバーの特徴についてお話します。そして、バーから見た横浜のこの30年の変遷についてまとめてみたいと思います。艱難辛苦の末、ようやくこうした発表をすることができるようになりました。古いバーを通して、横浜のこの30年を楽しく見てみたい!

タブララサ:詩による女性自身の再発見

(本人の希望により、このページへの転載は控えさせていただきます)

夜の街を撮る写真家森山大道:その被写体と技術

Thomas O'Leary (U of Southern California)

写真家森山大道は1938年に大阪で生まれ、1961年東京に移り、著名な写真家細江英公のもとで写真を勉強しました。そして60年代に自分のスタイルを確立しました。つまり強いコントラストの白黒写真で日本の本当の生活、あるいは「命」を撮ります。しかし彼の作品をどのように解釈すればいいでしょうか。写真の技術的な面だけで、あるいは被写体だけで解釈できるのでしょうか。写真を正しく解釈するには技術、被写体の二つの面を同等に扱い、読みとる必要があります。そうすれば森山の意図あるいは考え方がわかるでしょう。つまり森山は白黒のコントラストによって日本社会を表現し批判しているのです。

持続可能な社会:理想から現実へ

Lisa Hawes (UCLA)

最近、「持続可能な社会」という表現がよく聞かれます。持続可能な社会というのは、自然を守ると共に、コミュニティーを改革していく社会のことです。この概念の根本的な原理は、何世代も続いている豊かな社会を持続するために、社会と自然の両方の問題を大切にし、それらを解決しなければならないという考えです。日本国内では、このような考え方は「里山」という概念に代表されています。横浜市の中で、様々な地域団体は持続可能な社会、あるいは「里山」という概念を推進し、環境とコミュニティーを改革する活動を行っています。

この発表では、「持続可能な社会」、また「里山」という概念を説明し、横浜市にある持続可能な社会を作ろうという意識を持っている二つの組織、横浜市の緑政局、そして大岡川FunClubの活動を紹介します。

IT革命?

(本人の希望により、このページへの転載は控えさせていただきます)

清代台湾における地方行政

Michael Chiang (U of Michigan)

清代台湾における社会秩序は極めて混乱していた。康煕二十三年(1684年)、清朝は台湾を版図に組み入れてから台湾を212年にわたって領有したが、一説によれば、重大な反乱がなんと70回も発生したという。その上、清代台湾移住民の内部闘争ともいうべき「分類械闘」がしばしば勃発したこともあり、18世紀の台湾では「五年一大乱、三年一小乱」という流言が次第に定着した。果して、当時の台湾は大陸と比較してそれほど乱れた社会だったのだろうか。清代史料を見ると、確かに清国政府は慎重に台湾の現状を考慮した上で、台湾への統治政策を講じてきたことが分かる。それなのに、なぜ清代台湾が無秩序な場として知られてきたのだろうか。この発表ではこの問題を取り上げる。

日本におけるモルモン教:普遍的な信仰対文化的な嗜好

Adam Rasmussen (U of Washington)

キリスト教の一つの教団として、モルモン教は、言うまでもなく、日本の伝統的な宗教と基本的に違います。信仰の問題について、争いは不可避です。その上、キリスト教は西洋で生まれて、モルモン教はアメリカで創立されました。ですから、これらの宗教は日本とは異なる文化に基づいています。考えれば、キリスト教、あるいは、この場合には、モルモン教に入信する日本人にとって、色々な摩擦の可能性があります。私の議論は、ある宗教の基本的な信仰と文化に基づいている習慣を分けて考えれば、そのような摩擦が和らげられるということです。モルモン教の様々な宗教活動に関する議論を検討したいと思います。

家庭内暴力

Kyla Mitsunaga (UC San Diego)

家庭内暴力(DV)とはいったい何だろう。日本での家庭内暴力の現状はどうだろうか。2年前、先進国としては最後に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」を成立させた日本はまだまだ遅れていると言えるが、注目したいのはこうした防止法があってもDVの被害者が日本の男性または加害者から守ってもらえるかどうかは疑問だという点である。それにDVは女性被害者だけの問題ではなく、むしろ社会問題になっているのではないだろうか。

日本の温暖化防止対策にひび?

Richard Sleboda (Cornell U)

日本政府は1990年にCO2排出を抑制する試み「温暖化防止行動計画」を打ち出したものの、2000年に日本のCO2排出は大幅な増加を示した。既存のエネルギー政策の路線をもはや歩めない日本政府は、この教訓を受け、京都議定書に定められた2008年までの6%削減という目標を達成することができるだろうか。本発表ではまず、はじめに去年の京都議定書の批准、そして改めて決定された温暖化対策大綱、及び改正地球温暖化対策推進法を背景に、簡単に政府の方針を紹介し、次に国民を対象にした啓発広報活動、道路建設の政策、そして原発の増設問題といった三つの課題に焦点を絞り、政府やNGOの資料、世論調査、インタビューを参考にしながら、日本の地球温暖化対策について概観したい。

不良債権問題と日本の金融再生

James Fyffe (U of San Francisco)

1980年代後半のバブル経済の時期には日本の経済成長率が3〜6%程度に伸びましたが、1991年のバブル崩壊と同時に1%程度に急落しました。それ以来、マイナス成長を含めて低水準にあえいでいます。90年代の日本の経済を考えるとき、「不良債権」がキーワードの一つになっています。長引く不況から抜け出し、一日も早い景気回復が待たれる今日この頃ですが、銀行の不良債権が景気回復の足かせになっていると言われています。銀行が不良債権さえ処理すれば、景気が良くなるというわけではありませんが、処理しないと、景気が良くならないということもあります。発表では、この不良債権について話してみたいと思います。

最近の在日文学:その傾向と可能性

Timothy Webster (U of California, Berkeley)

最近とは、ここ15年間に出版されたもので、在日とは在日韓国朝鮮人に書かれた少数民族としての体験を描写する作品のことである。この定義により、二人の小説を選んだ。一つは李良枝(イヤンジ)という在日作家の1989年芥川賞受賞作の『由煕』で、もう一つは金城一紀の2000年直木賞受賞作の『GO』という小説である。二人とも在日の背景を率直に認めており、金城はコリアン・ジャパニーズと自称するに至った。日本の文壇の中で「在日文学」という分類があるかどうか分からないが、彼らの作品を簡単に紹介してから、在日のアイデンティティーが小説にどのように描かれているかという問題を取り上げたいと思う。

日本における法廷通訳の実態

Cory Blandford (Indiana U)

日本における外国人が被告となった刑事事件数は、平成13年に過去最高を記録している。外国人の被告人は裁判所における手続きを解し、それに参加するだけの日本語力を有していない場合が多いため、裁判所で立ち会う法廷通訳の需要は依然として高い。しかし、日本では法廷通訳の語学力や通訳技能を評価するための制度ができておらず、法廷通訳の誤訳などが被告人にとって不利な結果に繋がる事件も日本のマスコミで取り上げられてきた。さて、もし法廷通訳候補者の適性を判断するための認定制度がないのであれば、日本における法廷通訳の選任はどのように行われているのであろうか。今回の発表では、この課題を取り上げることとする。

ラテンアメリカのNGO:レコムを例として

Caroline Walsh (Stanford U )

レコムは日本のNGOの団体で、正式には「Red de Cooperacion Mutua entre Japon y America Latina(日本ラテンアメリカ協力ネットワーク)」といいます。1993年にラテンアメリカを対象とする教育機関として設立されました。現在では日本国内とラテンアメリカの両方で活動を行っています。彼らが今現地で手がけている一番大きなプロジェクトは、グアテマラのコナビグアという農村で女性達を支援する活動です。

発表では、このプロジェクトを紹介しながらラテンアメリカにおけるNGO活動を考えていきたいと思います。

「日英」通・翻訳の問題について

Adam Beal (U of Illinois)

米国国務省によると、英語話者にとって日本語は世界一難しい外国語の1つである。その難しさは文字や発音にとどまらない。語順や文型や文章の構成なども英語と完全に異なる。要するに、日本語と英語の共通点は極めて少なく、英語話者には日本語話者とのコミュニケーションがまさに世界一難しいとも言えるであろう。こういう背景をもつ日英通・翻訳は一体どう行われているのか。翻訳者として、どんな落とし穴を避けねばならないのであろうか。上記の問題を取り上げ、通・翻訳業界はどのようなものかを明らかにしたいと思う。多くの通・翻訳者を対象にしたアンケート調査といくつかのインタビューを行い、最後に自らの経験を通して日英通・翻訳の謎に迫る。

漢字学習の次なる段階:hana学習ストラテジーとhana FLASHKANTEXTを中心として

Daniel Stuntz (Ohio State U)

今回の発表では「漢字学習の次なる段階」を紹介する。その次なる段階とは「hana FLASHKANTEXT」という初級〜上級学習者のための漢字学習ウェブサイトである。このウェブサイトのプロトタイプをお見せしながら「hana学習ストラテジー」について話したいと思う。「hana」とは「hear act navigate achieve」の頭字語で「聞く、行動する、導く、達成する」ということを意味する。これは、当ウェブサイトがどのような形で漢字学習に役立つかを端的に表現した言葉である。時間があれば、最後に、未来の漢字学習がどうなるだろうかという点についても触れたい。

森鴎外の「興津弥五衛門の遺書」の考察

Joseph Dreher (Washington U in St.Louis)

日本は歴史的な物語について豊かな遺産を有しています。これは奈良時代の正史から十世紀の歴史物語を経て平安時代の軍記物語まで受け継がれています。また、歴史を主題としたものは浄瑠璃、歌舞伎、能や講談などにも多く見られます。大正時代には、マスコミの出現や歴史と国家意識の発展によって、歴史小説と時代小説という近代的な歴史物語が生み出されました。 本発表では、いわゆる最初の歴史小説、森鴎外の「興津弥五右衛門の遺書」という短編小説についての考察を述べたいと思います。まず、森鴎外とその作品について触れ、次に、歴史小説の出現や森鴎外の「歴史其のままと歴史離れ」という論について説明します。最後に、「興津弥五右衛門の遺書」の初稿と第二稿とを比較し、解釈を加えていきます。

朝鮮における第一銀行

Howard Kahm (UCLA)

明治維新後、日本政府は近代的な銀行制度を設立し、最初の第一国立銀行は日本の金融制度を新しい方向に導いた。その一方で、第一国立銀行(のちの第一銀行)は、日本政府が強制的に開港させた朝鮮に帝国主義的に進出した。その後、第一銀行の朝鮮支店が朝鮮経済に与える影響は大きくなった。朝鮮併合後、第一銀行の支店は朝鮮銀行に名を変え、中央銀行として植民地朝鮮における最大の経済的な権力を握ったのである。

被害者化の響き:現代日本における国家意識、集団記憶と「黙祷サイレン」

Joseph Hankins (U of Chicago)

西欧の神は数百年間かかって死んだ。一方、日本の現人神は「人間宣言」により、1946年1月1日に消えた。その結果、かつて血縁、人種、宗教、ネーションを重視する形で頑強な一体感を創出した国家家族の柱が揺らいだ。天皇が象徴化された戦後に入ると、日本国家意識を支える別の装置が必要不可欠になった。

発表では、このように機能する装置の一例として、広島と長崎の原爆記念日と終戦記念日に毎年鳴る「黙祷サイレン」について考えて見たいと思う。

ES細胞問題:日本の倫理的な立場から

Jeffrey Graves (U of Pennsylvania)

「ES細胞」(あるいは「胚性幹細胞」)というヒト胚を操作する技術は、アルツハイマー病、パーキンソン病、糖尿病等を治療する見込みのある医学的応用技術である。しかし、そこには倫理的な問題も非常に多くある。

本発表では、ES細胞とは何か、この技術の倫理的な問題は何か、この議論の余地のある技術に対して、日本政府はどのような規制を作ったのか、なぜ日本では大きな社会的「問題」になっていないのか等について検討する。

拉致被害者:メディアの人質

Gregory Turk (Northwestern U)

北朝鮮による日本人拉致問題についての報道の弱点と歪曲に関して発表する。まず拉致被害者が帰国する前の背景や展開を簡単に説明したのち、帰国後の実態に焦点を当てる。具体的には、拉致被害者についての報道が大げさになったり捻じ曲げられたりしてしまったという状況を明らかにする。そして、その誇張や歪曲は、日本のメディアのどのような弱点によって起きたのかを考える。結論として、このような報道によって大きく世論に変化がもたらされ、それは日本政府の北朝鮮に対する姿勢に影響を与えたということを説明する。

沖縄音楽の特性

Launa Sims (U of Florida)

沖縄の音楽には独特の音があるとよく言われるが、実際にその特性を細かく記述するのは簡単ではない。しかし、少しでもその分析を試みたいと思う。初めに、簡単に沖縄音楽の歴史に触れてから、沖縄民謡でよく使用される楽器,詩形、音符などの様々な要素に注目する。それから、日本本土の伝統音楽と比較しながら、沖縄民謡の違いや目立つ特徴を指摘する。

鎌倉時代の仏教僧・叡尊と忍性:「新仏教」と「旧仏教」の問題を中心に

(本人の希望により、このページへの転載は控えさせていただきます)

平安貴族のイメージと実情

Jonathan Adams (Columbia U)

平安時代の文学遺産には様々な作品があるが、おそらく一番優れていて最も知られているのは『源氏物語』だろう。しかし、『源氏物語』に描かれた平安貴族の生活はどのぐらいその実態にそっているのだろうか。物語だからやはりその中の人物はある程度理想化されているのではないか。実際には、平安貴族の日常生活のペースは非常に遅くて、男性は退屈な意味のない仕事を繰り返し、女性は暗くて居心地悪い家の中で暇すぎる余り逆に苦労しているのである。日常生活は複雑な迷信に制限されていて、いくらささいなことであっても暦と様々な占いで吉凶を調べなければならない。家族の関係は非常にあらたまっているが男女関係は極めて自由に行なわれている。要するに、平安貴族の理想化したイメージとその実像はかなり違うのである。

↑Page Top

2001-2002年度

日本語教育用生教材

Carolyn Lyson (U of Washington)

何か外国語を教える時は、教科書などの教材が必要です。その一つに「生教材」と言われるものがあります。ここでは、まず「生教材」とはどのようなものか、そしてその必要性について説明してから、「生教材」と関係が深いものとして教育用マルチメディアを取り上げます。私が小・中学校教師としてマルチメディア教材を集めた経験や研究に関して述べ、日本語を教えるため、デジタル写真や教育ソフトがアメリカでどのように使えるか、その評価を交えて私見を述べ、自分で作った教材や日本で販売されているコンピュータソフトをいくつかご紹介します。

火野葦平と「文化戦犯」

(本人の希望により、このページへの転載は控えさせていただきます)

独立をして起業家になるって?

Martha Ruiz (Carleton U)

「サラリーマンになりたくない」、「自分の店を出したい」、「一生に一度は起業にチャレンジしたい」と思っている人が最近増えています。日本では不景気でリストラや倒産などが相次いで起こっています。失業率はもう5%に達し、仕事はなかなか見つかりにくい状況です。幸いにして、もう一つの選択肢があります。それは独立です。しかし、事業を起こすのはそんなに簡単なことではなく、誰でも出来るわけではありません。この発表では、どういう人が独立に向いているのか、独立開業のステップ、そして頻繁に起きる失敗とその克服法を見ていきます。

文学の境界

Jonathan Abel (Princeton U)

私たちが目にするいわゆる「文学作品」と、私たちの目には入らない「文学作品」との境界はなかなか分かりにくい。しかし、ある時代の禁忌を検討したり、発禁処分を受けた作品、検閲された作品を詳しく読めば、ある程度その時代の境界が現れてくるのではないだろうか。そして、ひとつの時代の文学の主流や周辺部がどのように形成されているかということも明らかになるだろう。歴史的な境界の変化がはっきりすれば、現在の「文学の境界」も少しずつ明らかになるだろうと思われる。

「横浜写真」の世界

Karen Fraser (Stanford U)

「横浜写真」とは一体どういうものなのでしょうか。簡単にいえば、幕末から明治時代にかけて輸出するために写された写真のことです。19世紀中ごろ写真機が日本に渡来し、19世紀の後半に横浜が日本の新しい写真産業の中心になりました。F・ベアト、下岡蓮杖などの写真師たちが横浜開港時から明治前・中期の日本を撮影しました。横浜写真は外国人を対象としたおみやげですので、伝統的な文化を強調しています。特に風景・名所・日常生活や風俗が一番人気のあるテーマでした。この発表では「横浜写真」の世界をご紹介します。

マッキントッシュの改造という現象

Evan Emswiler (U of Illinois)

日本には米アップルコンピュータ社のマッキントッシュを愛する人たちが大勢いるが、なかにはマッキントッシュを改造する人もいる。ノートパソコンに木目のペイントを施したり、透明なパーツと取り替えたり、あるいは純正のものにない機能を付け加えたりするこの人たちは、インターネットのホームページや本で情報を交換し、ある人は改造を目的とする組織まで作っている。多くの時間とお金をかけ、コンピュータが破損する危険性をも負いながら、その外装、または性能の改造に挑むわけだが、このプロジェクトではインタビューを通じてその魅力を探る。

朝日新聞に見る満州と満州国:1932年1月〜3月

John Treiber (U of Hawaii)

発表のために1932年1月から3月まで、3ヶ月分の朝日新聞を調べました。この時期は満州事変の最後から満州国建国を経て満州国の最初の1ヶ月にあたります。調べる前は、どんな記事が載っているのかまったく予想できませんでした。結果は驚くほど色々な満州についてのニュースが掲載されていました。実際、90日間の新聞の中に1000以上の満州や満州国についての記事と写真があり、一日の平均は11ぐらいでしたが、2月の上海事変がなかったら、もっと多かったかもしれません。記事の話題は戦争、賊兵、満鉄、そして国家計画、溥儀、経済政策などについてでした。確かに朝日新聞は日本の満州での行動を支持しましたが、私はこれらの記事は政府や軍などの組織的なプロパガンダではなかったと思います。

野上弥生子の『山姥』

Kathryn Pierce (Ohio State U)

「山姥」というのは伝説上の人物ですが、一体どのような性格なのでしょうか。また、文学の中ではシンボリックな存在ですが、どのようにそのイメージを使用しているのでしょうか。1914年に書かれた野上弥生子の『山姥』という短編小説を検討しながら、これらの点について考えていきます。『山姥』という作品は一種の私小説ですが、この中では、伝説とは異なる山姥のイメージも現れています。それについてもどうしてそのように使われているのか見ていきたいと思います。

ヨガ人口はどうして増えてきているのか

Lisa Hosokawa (Columbia U)

ヨガ人口は大変増加してきているとよく言われている。しかし、しばしば挙げられている「ストレス解消のためになる」や「健康にいい」というような理由だけで本当にその現象を充分説明できるのだろうか。そう簡単に片付けるわけにはいかないだろう。無論、歴史的にではなく、現在の社会現象を分析するのは非常に難しいのだが、この発表で一緒に考えていただきたい点は三つある。・ヨギと医学者との協力、・ヨガと資本主義、・スポーツでもない宗教でもない「修養法」としてのヨガとその魅力、である。最後に、・の項目を踏まえた上で皆さんにヨガを体験していただく予定である。

海洋国家日本にとっての法整備

Lefteris Kafatos (U of Hawaii)

同時多発テロ事件が各方面に様々な影響を与え、戦争に対する考え方も変化した。日本の現政権は、戦後存在しなかった法律を制定しようとしている。有事法制の必要性が、テロや戦争に対する措置として主張されている。またアジアでは、経済悪化と貧困の増加にともない、犯罪も増えてきた。その一つは海賊行為であり、日本の船舶がしばしば犠牲となっている。この発表では、日本のシーレーン防衛と、有事法制、周辺事態、自衛隊および海上保安庁の役割について調べ、海賊問題との関係について考える。

在日コリアンの市民運動と82年体制

Michael Strausz (U of Washington)

在日コリアンの市民運動の歴史を見ると、1992年に廃止された外国人指紋押なつ制度に対する運動が一番大きかったと言える。何千人もが法に反し、危険を伴いながらもこの運動に参加した。「なぜこのようなことをしたのだろうか?」これが発表のテーマである。発表では日本政府の在日コリアン政策の変遷について検討する。法務省の対外国人イデオロギーの変化や、様々な人権条約の批准などを通して政策は変化し、在日コリアンに日本政府と話し合う機会が増え、指紋押なつ拒否以外にも市民運動としてできることが多くなっていったのである。

スターバックス現象

Atul Garg (Georgetown U)

日本の喫茶店文化の中で、現在スターバックスは大きな役割を果たしています。毎週約二つの新店舗が生まれ、スターバックス現象と呼べるほどです。アメリカのスターバックスはなぜ最初の海外市場として日本を選んだのでしょうか。文化的に、どんな要因を乗り越えなければならなかったのでしょうか。どのように日本の喫茶店文化を変えたのでしょうか。スターバックス・ジャパンはなぜ大成功したのでしょうか。そして、不況と厳しい競争の中で、今後も大成功を続けることが出来るのでしょうか。そのような疑問に答えたいと思います。

朝鮮における日本の植民地教育制度

Deborah Solomon (U of Michigan)

私の発表は、朝鮮における日本の植民地の教育制度についてです。朝鮮が、日本に「併合」された後、日本の政府による植民地政策の一つとして新しい教育制度が作られました。1919年3月1日、大きな反日運動がおきました。このいわゆる三・一運動の後、日本の政府はもう一度朝鮮における教育のガイドラインを作ろうとしました。この発表では、1920年に出された『朝鮮教育要覧』という本を中心にして、朝鮮における植民地教育政策の目的は何かを分析したいと思います。特に、朝鮮人のための教育と朝鮮にいる「内地人」のための教育、又、男女教育の違いなど、教育制度の構造の深いところでどのような違いがあるかについて話したいと思います。

五感で味わう藍染め

Jean Wang (Brown U)

現在では、化学的にいろいろな色を作れるが、染料はもともと植物などからの天然染料しかなかった。その中で、一番古い天然染料は藍である。世界中の多くの国が自国の藍染めを発展させ、今では、化学的な藍染めと天然本藍染めがある。日本でも化学的な藍染めは多いが、日本の天然本藍染めというのは特に長い歴史があり、一般庶民にも愛されている伝統的な民芸で、種まきの段階から染めあがった布の段階まで面白い工程がある。今回の発表は人間の五感で、美しく伝統的な自然の藍をどのように味わうことができるか述べたいと思う。

J-REITとは何か…

Joshua Spiegelman (UCLA)

バブルの崩壊以来、日本人の個人投資家は安定した投資機会を探っているのではないだろうか。だが、「不動産投資」というと、様々な理由で「恐ろしい」イメージを思い浮かべかねない。このような状況で、昨年の9月に、初めての日本不動産投資信託、いわゆるJ-REITが東証に上場した。J-REITはバブル時代の投機的な不動産投資と異なり、ミドルリスク・ミドルリターンの金融商品として分類されているので、色々なところから注目されている。J-REITにはどのような魅力があるのだろうか。また、どんなリスクが潜んでいるのだろうか。以上について、この発表で分析してみる。

靖国神社と小泉首相の公式参拝

Rachel Brunette (Stanford U)

2001年8月、小泉首相は公約に従い、16年ぶりに靖国神社を公式参拝しました。これに対して、中国、韓国だけでなく、日本国民からも反対意見が表明されました。靖国神社の公式参拝はなぜ問題になるのでしょうか。まず、この問題の歴史的な背景を整理します。それから、政治家をはじめとして、遺族会、日本国民、アジア諸国等、公式参拝問題に対する様々な視点を考えてみたいと思います。

“要注意”の株主について

Chad Griffith (U of Virginia Law)
Owen Lewis (Harvard Law)

日本では、毎年6月の特定の日に、おもな株式会社の株主総会が集中的に開かれます。なぜ6月に株主総会が多いのか不思議に思って調べてみると、日本には“要注意”の株主が大勢いることがわかりました。“要注意”の株主とは、どんな人なのでしょうか。それは、株主の権利を乱用してお金をもうける「総会屋」のことです。このような「総会屋」について調べたことを2人で共同発表したいと思います。

『伊豆の踊子』―時代とともに変わる踊子の女性像

David Henry (U of Michigan)

1925年に作家川端康成によって発表された『伊豆の踊子』は、叙情的に青春時代を描くその描き方によって高く評価され、今までに少なくとも6回映画化されています。映画化された『伊豆の踊子』ではその時代に一番人気がある若くて魅力的な女優が踊子を演じており、田中絹代、美空ひばり、吉永小百合、山口百恵やモーニング娘の踊子が有名です。彼女らのイメージとその時代の雰囲気によって次々と新しい踊子像ができました。この発表ではいくつかの踊子像を探求します。

教育とこれからのウェブ

Jared Schmidt (Brown U)

1993年に登場したWWWは、21世紀の生活に大きく役立つツールとなっている。だが、今までの形のウェブでは、教育に必要な相互作用性を達成しにくいため、ほとんどの教育ソフトはオフライン状態にある。XMLやいわゆるリッチクライアントという最近進歩してきた技術のおかげで、教育もようやくネット時代に入ることが可能となった。この新しい技術を使って開発中のソフトをモデルとして、ユーザビリティー、シェアビリティー、ポータビリティーの3点に基づいて、教育ソフトはどのように変わっていく可能性があるかを発表する。

日本と中国における近代演劇の受容

Zeng Li (U of Illinois)

日本と中国の近代演劇は、それぞれの演劇の伝統を母体にして生まれたのではなく、欧米から異質の演劇体系を受容することによって成立した。それゆえ、「誕生」というより、「移植」といったほうがいいだろう。

発表では、日本の近代演劇の形成期、すなわち、川上音次郎らの新派の試みから、小山内薫の築地小劇場による「新劇」の成立までを振り返る。また、中国に関しては、近代演劇の萌芽である「文明戯」から、1930年代の話劇の成熟までの歴史を紹介する。近代日中演劇の歴史的な繋がりを探る上で、近代演劇体系の受容の特徴とそれが果たした役割を、その当時の両国における近代化の動きの中で論じてみたいと思う。

「禁煙席ありますか。」

Hanna Kite (Tufts U)

日本人の3人に2人がタバコを吸わないにもかかわらず、禁煙カフェやレストランはめずらしい。その上、喫煙席と禁煙席を設けている店でも、禁煙席に座るとタバコの煙が喫煙席から漂って来て、不快感を感じる場合は少なくない。

こういった矛盾を解決するため、飲食店はどういう基準で禁煙席と喫煙席を分けているのかを調べてみたかったので、桜木町駅周辺の7軒のカフェやレストランの店長や店員にインタビューした。この発表でそのインタビューの結果を報告し、日本の喫煙状況は今後、どの方向に向かって行くのかについても考えてみたいと思う。

日本の民謡とは一体どんな音楽だろうか

Dan Weiner (Ohio State U)

日本において民謡という語が一般化したのは、放送やレコードなどのメディア文化を通 して享受されて以降である。しかしそれ以前にも地域生活での労働や娯楽の場で、人々に親しまれてきた。本発表では、そうした地域性を持つ日本の民謡に強く惹かれるようになったきっかけや、民謡の種類についてまず紹介する。次に民族音楽としての視点から、三味線や尺八などの楽器と民謡との関連性について触れてみたい。そして民謡をより具体的に理解し体験していただくために、実演を交えながら歌と三味線における技法的な表現とその構造について考察したい。

W杯におけるビジネス

Darrick Thomas (Whittier College)

四年に一度の祭典であるW杯は、世界二大スポーツ用品ブランドにとって最大のマーケティングの機会です。アメリカの「ナイキ」とヨーロッパの「アディダス」はアジア初のW杯の盛り上がりを積極的に活用してマーケティング戦略を立てています。両社はW杯を通じて世界の人々にブランドをアピールし、しのぎを削っています。ナイキとアディダスにとってW杯は想像できないほどの旨みがあるので両社はこの代理戦争の戦利品を獲得するために最後まで戦うことになるのではないでしょうか。

近代の超克とサイケデリック運動

Eric Cunningham (U of Oregon)

昭和17年、京都で太平洋戦争とその世界史的意味を議論する座談会が開かれた。当時の非常に有名な哲学者や文学者らが参加したこの会議では、「近代の超克」ということが議論された。

一方、1960年代のアメリカでは、「サイケデリック運動」が盛んになった。アレン・ワッツやアレン・ギンズバーグらが中心となったこの運動は、当時の麻薬文化と結び付きを持ちながら、一つの大きな社会現象となった。

本発表では、近代の超克、すなわち「歴史から逃れる」という終末論の立場から見ると、時代も場所も異なるこの一見、まったく別々の二つの事柄の間に非常に大きな共通点があるということについて説明する。

金史良:その生涯と30年代の作品

(本人の希望により、このページへの転載は控えさせていただきます)

ビデオゲーム業界の流れとこれからの課題

David Myles (U of Toronto)

「ビデオゲーム業界」とは、パソコンゲームやテレビゲームに関する会社のことを言い、今や経済・芸能・社会の全体に影響を与えている。特にアメリカのITバブル期には、「ビデオゲームは映画より大切になる」と言われていた。それが現実になるかどうかを別にして、ビデオゲームの制作や開発に関して色々な流れが登場した。しかも、「ネットワークゲーム」あるいは、「インタラクティブゲーム」と言われる比較的新しいゲームが今存在している流れを変える可能性がある。

「ビデオゲーム開発」を柱にして、これからビデオゲーム業界はどう変動していくかを発表したいと思う。

サンプリング時代:記憶と解体

Philip Kaffen (U of Washington)

音楽家大友良英は「サンプリング」イコール「記憶のウイルス」であると述べている。サンプリングという音芸術はここ十年、音楽界の中で飛躍的に広まってきた。しかも一種のウイルスとして社会の様々なレベルに伝染してしまっていると言ってもよいだろう。その結果、身体、記憶、著作権、アイデンティティー、独創性などの概念に関する考え方が変化させられつつある。いくつかの例を出すことで、サンプリングによる影響と可能性を検討してみたいと思う。

読解力への道:中・上級日本語学習者のための新しい読解教材の実例

Stephen Stratman (Ohio State U)

日本語学習者のために作られた教材は多くなる一方である。しかし、ほとんどの教材は初級学習者向けで、中・上級に至った学習者のためのものはまだ数えるほどしかない。特に、「生」の日本語の文章を読む力を養おうとしている段階で有効に使える教材はまだ充実させる余地が大いにあると考えられる。

学習者と教師の双方の立場から日本語を考え、苦労してきた私は、「では、どのような教材があればいいのか」ということに興味を持っている。今日は、私が開発しているコンピュータ版の日本語の「読本」の一部を紹介しながら、日本語学習者のための教材の現状とその将来の可能性を少し考えたいと思う。

記者クラブって何だ!?

Lee Kyu-ran (Ohio State U)

記者クラブは明治時代から日本風土が育んできた取材報道システムである。一世紀を超える歴史的なもので、「記者クラブ」という言葉は耳慣れたものかもしれないが、その実態は簡単に説明できるものではない。特にそのあり方については、様々な意見や批判があり、しかもインターネットの普及によるメディアの多様化や公開法の施行などで、記者クラブの存在の是非も問われるようになっている。私たち一般人にとって直接の関係はないかもしれないが、メディアから情報を得、影響を受けている以上、「記者クラブ」について知るべきであろう。

コーポレートガバナンスの衝撃

(本人の希望により、このページへの転載は控えさせていただきます)

琉球舞踊:貫ち花の様々の意味

Valerie Holshouser (U of Illinois)

1999年5月に行われたハーグ国際市民平和会議で沖縄の学生たちによる「貫ち花」という沖縄舞踊が披露された。それは踊りによって沖縄人の「平和的な意識あるいはアイデンティティー」を表すためであった。沖縄舞踊がこのように政治的な目的で使われていることに気づいてから、沖縄舞踊に深い関心を持つようになった。そこで発表ではその「貫ち花」という踊りを中心に、先ず沖縄舞踊の歴史を説明し、次に踊りそのものの様々な意味を紹介した後、自分の研究テーマを提示するという順で進みたいと思う。

倒錯者から未来のマスコットへ:オタク神話

Constantinos Papadakis (Cornell U)

この発表では「オタク」という現象をとりあげます。特にメディアによって作られたオタクのイメージに注目します。まず、オタクという単語の歴史について話し、次にオタクに対しての態度の変化について説明します。最後に日本以外の国でのオタクという言葉の使い方やイメージとSFに現れる日本の未来的なイメージの関係についてお話ししたいと思います。

派遣労働者として働く女性の現状

Joel Shelton (Ohio State U)

日本の企業が不況を切り抜けるのにはいろいろな方法があるが、その一つは派遣労働者を雇用することである。しかし、派遣労働者のほとんどは女性である。この発表では、まず派遣労働者の状況について説明し、雇用者、被雇用者それぞれの立場から、派遣労働の長所と短所を検討する。

↑Page Top

2000-2001年度

策彦周良と明代文人―外交と邂逅

Bruce Rusk (UCLA)

京都天竜寺妙智院の禅僧であった策彦周良は1539年および1547年の二度にわたって明帝国へ遣使され、外交官として勤めた。そのうえ、漢詩・漢文に強かったので明代文人と非公式に交流し、僧侶の身分を超え文人に仲間と認められたのである。策彦は禅寺で受けた中国古典を中心とする教育のおかげで中国文人とうまく理解しあえた。にもかかわらず、中国側のいわば「固有日本観」を変更することはできず、かえって、強化することもあったであろう。この発表では策彦周良と明代文人との触れ合いを紹介し、更に、この交流の成否を評価する。

小説と向き合う…夏目漱石の『坑夫』

(本人の希望により、このページへの転載は控えさせていただきます)

宗長の旅と関東の国人

David Spafford (UC Berkeley)

中世の有名な連歌師である宗長は、各地方の武将の招きで全国を回って旅し、自分の経験を紀行の形で記述した。この紀行は、文学的な作品として認められている一方で、赴いた地域の描写は比較的詳細で、16世紀初頭、つまり戦国時代の日本を理解するのに貴重な史料と言えよう。

この発表では、宗長の紀行『東路のつと』のある興味深い点を、その歴史的な文脈の中で紹介したいと思う。

ソトからのまなざし:芸能界「Jポップス」における外国人の役割

Lindsey Ricker (Yale U)

Jポップスの流行は将来どう変わっていき、ポップス音楽は日本のポップス文化をどう象徴していくのでしょうか。この発表では日本のレコード会社の組織の変遷と、今の状態を見たいと思います。カラオケ時代の今、メガヒットの作り方は何よりも大切だと言われています。メガヒットはどのようにJポップスの価値や現在の日本の大衆文化を表しているのでしょうか。そしてアイドルの作り方は音楽業界の組織においてどんな効果があるのでしょうか。西洋との国際交流の視点から、日本のポップス文化と西洋文化との関係を分析してみます。

国際連合の安全保障理事会改革と日本

Leon Brown (U of Michigan)

この10年間国際連合で安全保障理事会の改革のことがよく話題にされてきた。そして、国連で一番大きい声を出して安保理改革を要求している国は日本である。この発表では安保理の組織と目的、それに、安保理の3つの問題点「代表の問題、常任理事国の問題、拒否権の問題」について説明する。また、日本と他の国の安保理改革の提案も比較する。最後に、どうすれば意味がある安保理改革をかかげることができるかについても話す。

神奈川県の公立学校における多文化教育

Douglas Moen (U of Minnesota)

日本は同質的な社会だと言われている。しかし、この固定概念は、現在、多くの少数民族が全国に住んでいることを隠してしまう。横浜市・川崎市にも日本国籍を持っていない韓国・朝鮮人(いわゆる在日韓国・朝鮮人)や最近南米等の国々からきた人々が多く住んでいる。在日外国人の子供たちのほとんどが公立学校に通っているので、横浜市・川崎市の県立・市立学校では多文化共生のための草の根運動が進められている。そこでは、差別をなくすことだけでなく、在日外国人の児童・生徒が誇りを持てるよう、日本人児童・生徒との交流も目的とされている。在日外国人の数が増えるにつれて、このような多文化教育も進むだろう。この発表では、これら公立学校で行われている多文化教育について紹介する。

平和のための科学:湯川秀樹と科学観

Alison Raab (UC Davis)

湯川秀樹は1949年に日本人最初のノーベル物理学賞を受賞しました。この発表ではまず、新聞記事、教科書、批評、マンガなどを使いながら、湯川の成功についてどのように考えられたのか説明します。そして、湯川自身やノーベル賞受賞だけではなく、戦後主流となった平和観・自然観とどのような関係があるのかを述べていきたいと思います。このことによって科学と社会や文化のつながりを明確にしていきます。

無党派の風

Kathryn Tolbert (Fletcher School)

今年の3月の末、千葉県の知事選では無党派の堂本氏が自民党、民主党、社民党、共産党の候補者に勝ちました。保守王国の千葉県では、自民党が初めて知事選で負けて、堂本ショックと言われました。堂本氏はどのような戦略で勝利を得たか、日本の政界にどのような意味があるのか、そして、この夏の参議院選に与える影響などについて説明したいと思います。

明治初期の写生彫刻:実物写生から自己表現へ高村光雲が歩んだ道

Christopher Sears (U of Illinois)

明治維新に伴う廃仏毀釈運動によって日本の伝統的な彫刻が衰弱してしまった。一方、日本が開国してから、東京と横浜を中心として貿易品ブームが起こった。海外風の建築の隆盛とともに、西洋美術、西洋美術教育も盛んになった。こうした状況に直面した高村光雲という木彫家〔仏師〕は国粋派の彫刻家として有名である。光雲は日本美術が西洋美術と肩を並べるようにという意図で実物写生の作品も江戸の仏師の技法により製作した。光雲が単なる飾り物彫刻から自己表現へと歩んだ道をたどりながら、彼の実物写生の作品を代表する四点を紹介し、鑑賞する。

百萬塔陀羅尼に関する一考察

(本人の希望により、このページへの転載は控えさせていただきます)

日本国内における外国人労働者

Lisa Kitayama (Columbia U)

今年の2月18日に新しい「出入国管理及び難民認定法」が制定されました。一番大きな変化は罰の厳しさで、不法入国者、あるいはオーバーステイの者が見つかれば、罰金30万円または、3年未満の拘留になる可能性があります。2日18日以前に大勢の不法滞在者が自発的に日本を出ました。しかし、まだ日本にいるオーバーステイの数は10年間の平均で、23万人です。今回の発表では新旧の「出入国管理及び難民認定法」の違い、新しい入国管理法が外国人労働者に対してどのような影響を与えたか、そして最後に日本政府の今後の政策および非政府組織の将来の問題点あるいは必要な方策について述べます。

日本の人口危機:少子化に伴う経済的悪循環

Keith Casner (UC Berkeley)

今の日本は人口危機に脅かされている。出生率は1970年代から下がり続け、労働力はもはや縮小しはじめ、そして2007年あたりには人口も減少しはじめる。  この問題は「少子化」と呼ばれ、その結果、人手不足がますます深刻になっていくだろう。さらに、社会保障制度の崩壊、不動産市場の不安定化、小売需要の減少などの経済的な悪影響が予測されている。1989年以降この少子化問題は日本国民の間に広く知られていたにもかかわらず、現実的な理解と積極的な対策は少なかったと言ってもよい。この発表では「なぜそういう不適切な反応があらわれたのか」、そして「もっと効果的な政策を採用するため何が必要なのか」という問題に答えるつもりである。

日本における知的財産と大学−企業間のテクノロジー・トランスファー

Colin Hsu (Columbia U)

アメリカと日本は世界の中で政府による非軍事用の研究・開発という点で一番進んでいる。この研究の結果からよりよい医療や向上した商品が期待されるはずだ。しかしながら、政府による主な研究活動は基礎的な科学研究に止まっているため、新たな商品を作り出すためには進んだ研究が更に必要になる。そこで、もしある企業が、研究機関の開発した技術を安易にコピーして売り出したりしたら、高額な資金を投入して開発した甲斐がなくなる。そこで知的財産権の保護ということが必要になってくる。

アメリカと日本の民間企業は大学における発明のテクノロジー・トランスファーの権利を今までどのような方法で取得してきたか、次に日本での大学や企業の技術移転に関して説明する。最後にテクノロジー・トランスファーは日本のITやバイオテクノロジー企業と経済全体にどんな効果を与えるかを考察したい。

日本の情報公開制度

David Schultz (U of Washington)

情報公開制度とは何でしょうか。日本においては、19年前から自治体レベルでは情報公開制度ができています。そして、今年の4月に国の情報公開法が施行されました。  これまで自治体の情報公開によって「官官接待」や「空出張」を表面化させ、市民による行政の監視と意思形成への参加が実現できました。  国の法律が同様な役割を果たすには、二つの要素が欠かせないと思います。まず、市民が探している情報を、合理的に特定できるようにしなければなりません。もう一つは、非公開決定に対して、審査会と裁判所が、厳密に法律を解釈しなければならないということです。

日本の数学と算額

Bryan Atwood (UC Berkeley)

江戸時代の鎖国により日本における科学の分野はほとんど発達しなかったことはよく知られているが、数学は独自の発展を見せた。しかし、いわゆる「和算」を知らない人は少なくない。日本の数学の歴史を垣間見て、この時代の教育と日常の数学、国民一般の間で代表的だった「算額」という絵画等、和算の特徴を見れば、この独創的な分野が分かるようになる。また、明治時代から政府が和算の教育を止めて輸入した西洋の数学と比較すれば、和算と洋算との違いが明らかになり、その豊かな日本の文化が深く理解できると考える。

日本の外国法事務弁護士制度

Matthew Sikes (Georgetown U)

日本の司法試験の合格率は約2%で、弁護士の総数は約1万3千人ほどです。一方アメリカの弁護士数は70万人以上ともいわれ、日本は弁護士過疎社会といえるでしょう。ところが、日本には色々な国際法律事務を必要としている国際企業がたくさんあります。日本の伝統的な法文化を維持しながら、この需要はどのようにして満たされているのでしょうか。答えは外国法事務弁護士制度です。この制度の下では、外国で資格を取得した弁護士は手続きだけで外国法事務弁護士となることができ、日本で事務所を開設することができます。そして、それぞれ自国の法律のみを取り扱って、外国企業の需要を満足させます。日本の国内法はこれまで通り、日本の弁護士だけに任されることにより従来の法文化が守られるわけです。

日本企業を救う新たな「コーポレート・ガバナンス」とは…

(本人の希望により、このページへの転載は控えさせていただきます)

織田信長の延暦寺の焼き打ちについて

William Untereker (Swarthmore College)

織田信長は長い間残酷な人といわれ、とりわけ延暦寺焼打ちという事件について批判されている。いうまでもなく、比叡山を攻撃したり焼き払ったりすることは極端な行為なのだが、経験を積んだ武将として信長はどうしてそこまでしようとしたのか。このことについて、信長の仏教嫌い説より何か論理的な説明があるのではないかと考える。特に浅倉家や浅井家との関係、一向一揆等はどのような影響を与えたのかということに注目する。

「敦煌文献」を通して中国を再考する

Amanda Goodman (U of Michigan)

20世紀初頭、中国甘肅省の西辺に位置し、古来、中原と西域を結ぶ交通の要であったオアシス都市敦煌で厖大な量の古文書類が発見された。この敦煌から出現した文献を総称して、一般に「敦煌文献」と呼んでいる。これらは、大体5世紀から11世紀初期に書かれたものであるが、多くの敦煌文献は、8世紀を中心として中国禅と密教の発達期に成立し、禅と密教史の研究に不可欠な資料である。さらに、この文献を通して唐代における禅と密教との交渉と融合について考えることができる。この発表では、敦煌から出現した「壇法儀則」第3巻の「付法藏品部第三十五」とその中に記述されている伝燈説を再考してみたい。

朝鮮人虐殺事件についての一考察

Jin-Hee Lee (U of Illinois)

昨年4月、災害時に在日韓国朝鮮人をはじめとする外国人住民が騒擾事件を起こすかも知れないという石原東京都知事のいわゆる「三国人」発言が、日本の内外で大きな社会的反響を呼び起こしたことは記憶に新しいことです。問題の発言は20世紀日本の最悪の自然災害であった78年前の関東大震災と、それに伴う戒厳令下で発生した6000人を越える朝鮮人虐殺事件という人災を思い起こさせました。この発表では、日本とアジアの近現代史においていろいろな意味を持っているこの事件の歴史的な背景や経緯、そして当時の人々の反応やその解釈上の問題についてお話させて頂きたいと思います。大正日本社会の政治文化的文脈の中で造り出された当時の「朝鮮人」へのイメージやそれがもたらした現在に至るまでの影響と意味について考えるきっかけになればと思います。

少子化は本当に問題か

Brenda McLaughlin (U of Hawaii)

少子化という現象はよく「問題」として取り扱われています。しかし、少子化が問題なのではなく、政府が日本の家族の多様化に対応していないことが現代日本社会においての大きな問題ではないでしょうか。1990年頃から「少子化」という現象はよくニュースに出てきたり、国会でも取り上げられたりしています。

この発表では、まず少子化の背景を見て、それから女性自身は結婚や出産に関してどう考えているかということを雑誌や新聞の記事から見てみます。それによって少子化の原因とこれから少子化がどう展開していくかということがはっきりすると思います。

チャンプルー文化:沖縄における国際化とアイデンティティー

Rebecca Forgash (U of Arizona)

2000年に開催された沖縄サミットに向けて、県は、沖縄の特徴を世界に宣伝するために「チャンプルー文化」という表現を採用しました。この時「チャンプルー文化」には「国際的」というような積極的な意味があたえられましたが、それは、本当なのでしょうか。この発表では、沖縄県によって宣伝された概念が何を指すのか、またそれが沖縄人のアイデンティティーを創造する戦略としてどのように使われてきたのか説明したいと思います。そしてもう一度「チャンプルー文化」というのは、何かについて考えてみたいと思います。

「賢治の学校」:宮沢賢治の『農民芸術論』から生まれた新しい教育

Hoyt Long (U of Michigan)

21世紀に入って、日本の社会は経済危機だけでなく、教育危機にも直面している。校内暴力、学級崩壊、不登校など様々な問題の増加は、教育制度がもはや子供たちにとって適当なものではないという事実を明らかにしている。そこに、日本社会の 「救世主」とさえ呼ばれる宮沢賢治と元小学校教諭の鳥山敏子という人物が登場する。1994年、鳥山敏子は宮沢賢治の『農民芸術概論』と彼の教育観を手がかりとして、教育問題の解決を目指そうと 「賢治の学校」運動に着手した。80年ほど前に書かれた著作をどのように現在の教育改革運動に結び付けるのかは興味深い点だが、ここでは「賢治の学校」自体に焦点を当て、どのような過程で創設されたのか、そこでどのようなことを教えるのか、普通の学校とどこが違うのかについて述べたい。最近の暗い教育事情の中、「賢治の学校」 という一つの光を紹介する。

日本における精神医学文化人類学の研究

Ken Vickery (U of Pittsburgh)

現在、精神病に関する分野には、概念的な分裂がある。普通の医学モデルによると、精神病は、生物的な問題でしかない。一方、社会科学的なモデルによると、精神病は、普通、文化や社会から影響を与えられており、どのように定義し、診断、治療するかに対する答えは、国によって違うようである。文化比較研究の目的は、この分裂を解消することである。日本には、特に神経質、対人恐怖症、森田療法と内観療法など、特徴的な診断や療法があるので、文化比較研究にいい洞察が得られるかもしれない。「精神医学文化人類学」という分野は、なぜこの診断法と療法が、日本人に効果的かということを理解しようとするものである。

歪まない比呂美:女性詩学とフェミニズム

Katherine French (Indiana U)

伊藤比呂美は1955年、東京に生まれ、青山学院大学の文学部を卒業し、70年代に挑発的な女性詩人として登場した。詩作において韻律と音を大事にしているという点では伝統的な詩であると言えるが、その前衛的な形は20世紀の意識を投影している。そしてタブーを壊すようなテーマを通して伊藤の詩は鮮やかに女性詩の個性的な声を表わすのである。女性詩の代表として、伊藤の「歪ませないように」という詩を取りあげ、その詩の姿とテーマを検討する。そして、「女性詩」という言葉がどのようにフェミニズムに基いた意識に対応しているかについて説明する。

日本における「ストレス」のイメージ―横浜地区を中心にして―

(本人の希望により、このページへの転載は控えさせていただきます)

高齢化社会におけるNPOの役割

Michal Nissim (U of Tokyo)

1995年1月の阪神大震災後、ボランティアやNPOという言葉がよく聞かれるようになりました。NPOには多種多様のものがあり、学校から環境問題に至るまでの社会問題に取り組んでいます。日本社会の高齢化に対応するサービス供給の一つの担い手として最近注目されているのがNPOです。高齢化社会におけるNPOの役割は何でしょうか。こうしたNPOの活動を発展させるためにどのような課題があるのでしょうか。NPOの特徴を前提にして高齢化社会に対応する一つの方法を見てみたいと思います。

大衆文化の中の「少年」と「暴力」

Brian Bergstrom (U of Chicago)

21世紀にまで及んだ不況を背景に、現在大衆文化の中で社会問題を巡る不安が多様な形で表現されている。娯楽として消費される大衆文化(映画や漫画や小説等)は論理的な議論を超えて、大衆の意識下にまでしみ込むと言えよう。この発表では、最近話題になった少年暴力における言説の構造を明白にする為に3つの作品を分析したいと思う。これらの作品の比較を通して、大衆文化の言説で描かれている「少年」と「暴力」の構造を解釈しようと思う。

「先生、これ試験に出ますか?」―学校ではマイノリティーについてどのように教育されているか

(本人の希望により、このページへの転載は控えさせていただきます)

歴史と歴史教育の目標

(本人の希望により、このページへの転載は控えさせていただきます)

不登校を解決するためには?−横浜のコロンブス・アカデミーの試み−

Samantha Hodges (U of NC-Chapel Hill)

不登校という現象はケースによって原因が違うし、ほとんどの場合は一つの原因ではなく、いろいろな要素があって、とても複雑な問題です。この複雑な問題に対して文部省や教育学、心理学などの専門家の意見や助言も対立しています。ですからどうしたらいいかと悩んでいる親は子供の心が十分分からずに、専門家の声で迷ってしまい、状況を改善できなくなってしまう傾向があります。そこで横浜にあるコロンブス・アカデミーのようなNPOが、この問題を解決するためにとても大切な役割を果たしています。この発表では不登校を解決するための一つの方法としてコロンブス・アカデミーの活動や不登校についての考え方を紹介したいと思います。

日本における漢方薬

Jesse Smith (UC Berkeley)

6世紀に日本に導入された漢方は、4000年の歴史があり、豊かな可能性を持っている。しかし、漢方にも利点と不利な点がある。現在では、漢方の効能をもっと詳しく知るために、さまざまな薬と漢方の原料が、近代的な研究の基準に従って研究されており、漢方の知識も進歩している。日本の漢方の特徴、歴史、現在の状況、日本人の漢方に対する考え方などについて話したいと思う。

千宗旦の世界

Paul (Ted) Demura-Devore (U of Hawaii)

千宗旦という人(1578-1658)は秀吉の治世から徳川幕府への変遷とともに歩んできました。この発表では、まず政治の面での秀吉の独裁的な機構から徳川の幕藩体制への変遷、次に徳川時代の争点としてのいわゆる身分制度、及びその固定化と宗旦との関係について考えたいと思います。最後に宗旦の侘茶といわゆる大名茶との区別を説明し、茶の湯の歴史は本当に意義があるかどうか、宗旦の世界から述べたいと思います。

↑Page Top

1999-2000年度(題目のみ)

↑Page Top

1998−1999年度(題目のみ)

↑Page Top


Inter-University Center for Japanese Language Studies
E-Mail